ラテン語の代名詞の複雑な格変化の覚え方や考え方のコツ

ここでは、ラテン語の代名詞について詳しく書いていきます。

ラテン語の基本文法全体に関しては、

ラテン語基本文法
にまとめています。

人称代名詞

まずラテン語は、人称代名詞の主格(第一格)はあまり使いません。
なぜなら、動詞などの格変化で誰が主語か分かるからです。

1人称と2人称

1人称が「私」、2人称が「貴方」です。

貴方 私たちに 貴方たち
〜は egoエゴ tuトゥ nosノス vosウォス
〜の meusメウス tuusトゥウス nosterノステル vesterウェステル
〜に mihiミーヒ tibiティービ nobisノービス vobisウォービス
〜を me (mei)メ (メイ) te (tui)テ (トゥイ) nos (nostri)ノス (ノストリ) vos (vestri)ウォス (ウェストリ)
〜〇〇 me te nobisノービス vobisウォービス
「〜を」の一部は
  • mei(メイ)
  • tui(トゥイ)
  • nostri(ノストリ)
  • vestri(ウェストリ)
が使われます。

例えば、
Libera meリベラメ(我を解き放ちたまえ)は、meが使われ、
Miserere meiミゼレレメイ(我を憐れみたまえ)は、meiが使われています。

第一格(〜は)

ego
1人称単数の主格「〜は」であるegoは、「エゴの塊」のエゴの語源ですね。

1人称単数は、自分自身のことなので、「エゴが強い」と言えば、自分の意見を突き通すといった意味がありますが、実はラテン語からきているんですね。

ラテン語の1人称単数第一格(主格)「私は」は「自分自身のエゴ」と覚えておきましょう。

tu
2人称単数の主格「〜は」は、フランス語の2人称単数と同じです。

フランス語も2人称単数主格は tu です。

ただ発音は、フランス語は「チュ」に対してラテン語は「トゥ」となります。

発音から見ても、フランスは可愛いイメージ、ラテン語は厳粛なイメージがありますね。

事実、フランスは可愛いブランドも多いので、発音は文化に影響しますね。

ラテン語の2人称単数第一格(主格)「君は」は、フランス語のtuと同じと覚えておきましょう。

nos・vos
複数形の主格であるnosとvos。
こちらもフランス語に似ています。

フランス語はnous、vousです。

フランス語は、ラテン語から派生した言語なので、似通ったりしているところがたくさんあります。

発音は、フランス語のvous「ヴ」に対して、ラテン語はvos「ウォス」となり、濁点は付かないので注意です。

nous → nos、vous → vos というように、uを取ればラテン語になります

第二格(〜の)

meus
ラテン語の第二格は、ドイツ語の第ニ格に似ています。

「私の」のドイツ語は、meinになります。
ラテン語はmeusになります。

tuus
tuusはどちらかといえばフランス語に似ています。

ton (男)、 ta (女)、tes (複)です。

noster・voster
ラテン語の第ニ格複数は、フランス語にとても似ています。

フランス語はnotre、votreです。
非常に似てますね。

notreは、ノートルダム寺院などで使われていますね。
ノートルダムとは、「私たちの貴婦人」といった意味です。

ラテン語でいうと、ノストラダムス「nostra damus」になります。

nostreの語尾は格変化してaになりますが、こうやって比較すると面白いですね。

第三格

mihi・tibi
ラテン語の1人称第三格「mihi」は、ドイツ語の1人称第四格「mich」ににています。

注意したいのが、ドイツ語は第四格ということです。

ラテン語は第三格ですが、ドイツ語の第四格と発音も近い「ミーヒ」と覚えておくのも良いでしょう。

tibiは、mihiによく似ていますので、そのまま覚えておきましょう。

nobis・vobis
こちらもフランス語に似ています。

しかし第一格と、後述する第四格とか形が異なります。

どちらも語尾がbisになります。

響きがカッコいいですね。

第四格

me・te
これはフランス語と同じなので覚えやすいです。

あの有名な「Je t'aime」(ジュテーム)も、省略されていますが「君を」の「te」になります。

フランス語は「e」を「ウ」と読むので、発音はラテン語とは異なりますが、ラテン語の1人称と2人称の第四格はフランス語と同じと覚えておいて良いでしょう。

nos・vos
こちらはそれぞれ第一格と同じですね。

あとはフランス語の同じく第四格のnousとvousにも似ています。

フランス語もラテン語も、共に第一格と第四格は同じ形になっています

3人称

3人称は「彼」「彼ら」「彼女」「彼女ら」に加え、「それ」「それら」も下記になります。

「彼」は男性、「彼女」は女性、「それ」はそれぞれの単語が男性名詞が女性名詞かによって使い分けます。

下記の「それ」は、後述の指示代名詞よりも弱いニュアンスの指示語となります。

男性単数 女性単数 中性単数 男性複数 女性複数 中性複数
〜は isイス eaエア idイード ei, iiエイ, イイ eaeエーアエ eaエア
〜の ejusエーユス ejusエーユス ejusエーユス eorumエオールム earumエアールム eorumエオールム
〜に eiエイ eiエイ eiエイ eis, iis, isエイス, イイス, イース eis, iis, isエイス, イイス, イース eis, iis, isエイス, イイス, イース
〜を eumエウム eamエアム idイード eosエオス easエアス eaエア
〜〇〇 eoエオ eaエア eoエオ eis, iis, isエイス, イイス, イース eis, iis, isエイス, イイス, イース eis, iis, isエイス, イイス, イース

第一格

is・ea・id
出ましたね!「is」。

英語の「is」を彷彿とさせますが、「he is」。「彼は」も「is」を使うので、それに関連付けて覚えたらいいですね。

あとはフランス語の「彼は、彼女は」の「il, elle」にも1文字目が似ています。

「a」はラテン語は女性名詞に付きやすいので、「ea」は覚えやすいですね。
語尾「-ae」は女性形によく使われますので、その逆向きの「ea」です。

「id」は、「それは」を意味する、英語の「it」やドイツ語の「das」に何となく似てますね。

「is」はフランス語の「il」と英語の「is」

「ea」はフランス語の「elle」とラテン語の女性形でよく使われる「ea」の逆向き

「id」は、英語の「it」+ドイツ語の「das」

と覚えることが出来ます。

ei・aea・ea
第一格の複数形は、「ei, eae, ea」です。

なかなか覚えにくいですが、ラテン語は複数形はeが付く場合が多かったりします。

なので、

is → ei
ea → eae
id → ea

と、それぞれeが付加されていますね。

第ニ格

ejus
なかなか馴染みのない形の単語ですね。

ラテン語はjは、次に母音が来た場合はユと読みます。

1人称、2人称、3人称の単数は全てejusなので、その部分は覚えやすいです。

eorum・earum・eorum
複数形も、形は三つとも似ています。

女性形複数のみearumになりますが、aは女性形によく使われますので、関連させて覚えましょう。

第三格

ei・eis
第三格は、単数形は全てei、複数形は全てeisです。

複数形は、英語と同じようにsを付加すればいいだけです。

複雑そうに見えて単純なので、わりと覚えやすいですね。

第四格

eum・eam・id
第四格はなかなか難しいです。

まず、英語フランス語ドイツ語どの言語もですが、第四格は比較的第一格に似ている場合が多いです。

ラテン語も第一格と第四格は似ている場合があり、このケースも第一格に似ています。

eos・eas・ea
第四格の複数形も、第一格とわりと似ています。

単数形のeum, eam, idに比べ、複数形なのでsが付いていたりしますね。

とにかくこれは発音しながら覚えた方が良いかもです。

所有代名詞と格変化

英語は所有代名詞の格変化はありません。
フランス語もありません。
ドイツ語とラテン語は所有代名詞の格変化があります。

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