中世の音楽は、6世紀から15世紀くらいの音楽を指します。
中世のクラシック音楽は、主に宗教音楽と世俗音楽に分類されます。
宗教音楽は、教会のために作られた音楽で、世俗音楽は、宗教以外の宮廷や庶民のための音楽をいいます。
教会音楽は、キリスト教のグレゴリオ聖歌を中心に作られました。
グレゴリオ聖歌(グレゴリアンチャント)は、9世紀頃に作られるようになりました。
キリスト教は、主にラテン系のカトリック派、ゲルマン系のプロテスタント派に分かれてますが、グレゴリオ聖歌は、カトリック宗派の教会音楽でした。
カトリック派の音楽なので、ラテン語で書かれています。
グレゴリオ聖歌は、単旋律で無伴奏の教会音楽で、教会音楽の原点と呼ばれる音楽です。
単旋律無伴奏の音楽をモノフォニーと言います。
後に、これが複旋律無伴奏のポリフォニーと呼ばれる音楽に発展していく流れとなります。
ちなみにモーツァルトやベートーヴェンなどの古典派のような伴奏有の音楽をホモフォニーと呼びます。
グレゴリオ聖歌の起源は、アンブロジオ聖歌と言われてます。
アンブロジオ聖歌は、アンブロジウスによって誕生したと言われてます。
アンブロジウスは、4世紀のカトリック教会の司教でした。
アンブロジウス聖歌は、後にローマ教会の力によって、グレゴリオ聖歌になったと言われています。
グレゴリオ聖歌の名前は、グレゴリウス一世というカトリック教皇にちなんで名付けられたと言われています。
グレゴリウス一世は、当時カトリック教会の中でも有名な知識人でした。
グレゴリウス一世自身もグレゴリオ聖歌を作曲したと言われてます。
グレゴリオ聖歌の譜面は、ネウマ譜という記譜法を使って記譜されていました。
ネウマ譜は記譜法の基礎を築き上げ、これが16世紀くらいに、現在の五線譜に発展していったのです。
この頃の他の聖歌は、スペインのモサラベ聖歌、イギリスのソールズベリー聖歌などが存在します。
世俗音楽は、宮廷の音楽と庶民の音楽に分けられます。
宮廷の音楽は、主にトルバドゥールやトルヴェールと呼ばれる演奏家によって演奏されました。
トルバドゥールやトルヴェールの多くは、貴族階級の音楽家で、宮廷のために作曲や演奏の活動をしていました。
庶民の音楽は、一般市民が、主に持ち運びが用意な弦楽器を中心に持って各地を移動し、演奏する形態をもっていました。
それを吟遊詩人と言います。
吟遊詩人は、ジョングルールとミンストレルと呼ばれる演奏家に分けられます。
ジョングルールの中でも、宮廷に仕えられた者をミンストレルと言います。
中世の音楽の後期は、複旋律の音楽の橋掛けとなります。
複旋律の音楽は、9世紀頃に生まれたと言われ、
フランスのサン・マルシャル楽派、ノートルダム楽派に伝わりました。
サン・マルシャル楽派とは、フランスのサン・マルシャル修道院にて作曲活動などをした音楽家の事です。
サン・マルシャル楽派の人達は、ポリフォニーの基礎となる、オルガヌムという音楽を生み出しました。
ノートルダム楽派とは、パリのノートルダム大聖堂にて活動した作曲家を言います。
代表的な作曲家は、レオニヌスとペロティヌスがいます。
ペロティヌスは「オルガヌム大全」を作曲しています。
サン・マルシャル楽派やノートルダム楽派の時代の音楽様式を、アルス・アンティカ(「古い技法」の意)と言います。
14世紀頃になると、新しいリズムや記譜法を求める音楽様式が誕生します。
この音楽様式をアルス・ノーヴァ(「新しい技法」の意)と言います。
この時代の有名な作曲家に、ギョーム・ド・マショーがいます。
15世紀頃になると、アルス・ノーヴァを更に技巧的にする流れが出てきます。
その音楽様式を、アルス・スブティリオルと言います。
ルネサンスの音楽は、15世紀から16世紀くらいの音楽を言います。
中世の音楽が単旋律無伴奏(モノフォニー)だったのに比べ、ルネサンスの音楽は、主に複旋律無伴奏(ポリフォニー)の音楽が中心となります。
中世の音楽とルネサンスの音楽を合わせて、アーリーミュージックと呼ばれる場合があります。
ルネサンス音楽は、アルス・ノーヴァと、イタリアの複旋律音楽、トレチェント音楽の延長として誕生しました。
ルネサンス音楽前期で中心になった作曲家は、ブルゴーニュ楽派と呼ばれる音楽家達です。
ブルゴーニュ楽派とは、15世紀に、現在のベルギー・オランダ・ルクセンブルクとフランス東北部を中心としたブルゴーニュ公国で活躍した作曲家集団です。
有名な作曲家は、ギヨーム・デュ・ファイがいます。
ルネサンス音楽中期になると、フランドル楽派が中心になってきます。
フランドル楽派とは、オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部の地域で活動した作曲家を言います。
有名な作曲家は、ジョスカン・デ・プレがいます。
ルネサンス音楽後期になると、イタリアでローマ楽派、ヴェネチア楽派などが誕生しました。