英語やフランス語は名詞に格変化はありませんが、ドイツ語やラテン語は名詞に格変化があります。
しかもドイツ語は
- 〜は(主格)
- 〜の(属格)
- 〜に(与格)
- 〜を(対格)
- 〜は(主格)
- 〜の(属格)
- 〜に(与格)
- 〜を(対格)
- 〜〇〇(奪格)
- 〜よ!(呼格)
ラテン語の基本文法は、
ラテン語基本文法
のページにまとめています。
このページでは、ラテン語の名詞について詳しく見ていきます。
名詞の判別方法
まずラテン語を読んだ時に考えることが、名詞かどうかの判別です。ラテン語は語形による品詞の区別がとてもしにくいのですが、その中でラテン語の名詞の語尾は、
- a
- us
- er
- ir
- um
その他「x」で終わったり「s」で終わったり、様々なパターンがありますが、その場合は後述の「例外」型の格変化の場合が多かったりします。
男性名詞と女性名詞と中性名詞の見分け方
全てが当てはまるわけではないですが、ある程度のパターンはあります。男性名詞のパターン
ラテン語の男性名詞のパターンは、語尾が以下のような単語が比較的多いです。- -us
- -er
- -i
これはドイツ語にも似ていて、ドイツ語もerで終わる単語は男性名詞の場合が多いです。
あと「s」で終わる単語も中性名詞と男性名詞の場合がわりと多いです。
「er」「us」は男性名詞というイメージを持てば良いでしょう。
女性名詞のパターン
ラテン語の女性名詞のパターンは、語尾が以下のような単語が比較的多いです。- -a
- -es
「a」で終わる単語はイタリア語では女性名詞になりますし、この場合は「es」ですが、「e」で終わるフランス語は女性名詞が多いので、そのあたりは継承されてるのかもしれません。
「a」「es」は、女性名詞というイメージを持ちましょう。
中性名詞のパターン
ラテン語の中名詞のパターンは、語尾が以下のような単語が比較的多いです。- -um
- -u
ドイツ語も「um」で終わる単語は中性名詞が多いです。
「um」「u」は、中性名詞というイメージを持てば良いかと思います。
格変化の概要と覚え方
名詞の格変化のある言語は、他の言語ですとドイツ語などが挙げられますが、ラテン語は更にドイツ語に比べて格変化のパターンが複雑です。その中で、いくつか後述している表を見ながら、覚えやすくするコツを挙げていきましょう。
-am -em -um
語尾が -am, -em, -um の場合は、単数形の「〜に」の場合が多いです。ただし、-umは単数形の第一格や、複数形の第二格の場合もあるので注意です。
-ae
ラテン語の個性でもある、この母音2つの連続「ae」。とても奇妙な特徴でもあります。
ただ、このaeの形が語尾に来れば、まず女性名詞と考えれば良いでしょう。
第三格と奪格はほぼ同じ
第三格である「〜に」、奪格である「〜〇〇」は、よく見るとほぼ同じです。〇〇には、「〜から」や「〜によって」などの前置詞が入りますが、これらはフランス語やドイツ語には存在しません。
英語も奪格は存在しませんし、そもそも英語は名詞は格変化しませんし代名詞を見ても第三格「〜に」と第四格「〜を」は同じですね。
その奪格ですが、時代や言語の発展と共に第三格に吸収されているイメージがあります。
フランス語やドイツ語などは、第三格はよく前置詞と一緒に使われ、第四格は前置詞無しで使われたりするためです。
なので、ラテン語の時点から第三格と奪格は似ている、後々奪格は第三格に吸収されると覚えておけば良いでしょう。
更に、単数形の第三格と奪格は母音で終わり、複数形はisやbusなど、sで終わっています。
名詞の格変化
女性名詞の多い語尾
aで終わる名詞
aで終わる名詞はほぼ女性名詞です。単数 | 複数 | |
---|---|---|
〜は | -a | -ae |
〜の | -ae | -arum |
〜に | -ae | -is |
〜を | -am | -as |
〜〇〇 | -a | -is |
〜よ! | -a | -ae |
esで終わる名詞
esで終わる名詞は「dies(日)」を除いて全て女性名詞になります。単数 | 複数 | |
---|---|---|
〜は | -es | -es |
〜の | -ei | -erum |
〜に | -ei | -ebus |
〜を | -em | -es |
〜〇〇 | -e | -ebus |
〜よ! | -es | -es |
男性名詞の多い語尾
usで終わる名詞
usで終わる名詞はほぼ男性名詞です。単数 | 複数 | |
---|---|---|
〜は | -us | -i |
〜の | -i | orum |
〜に | -o | -is |
〜を | -um | -os |
〜〇〇 | -o | -is |
〜よ! | -e | -i |
単数 | 複数 | |
---|---|---|
〜は | -us | -us |
〜の | -us | -uum |
〜に | -ui | -ibus |
〜を | -um | -us |
〜〇〇 | -u | -ibus |
〜よ! | -us | -us |
erで終わる名詞
erで終わる名詞はほぼ男性名詞です。単数 | 複数 | |
---|---|---|
〜は | -er | -i |
〜の | -i | -orum |
〜に | -o | -is |
〜を | -um | -os |
〜〇〇 | -o | -is |
〜よ! | -er | -i |
irで終わる名詞
irで終わる名詞はほぼ男性名詞です。単数 | 複数 | |
---|---|---|
〜は | -ir | -i |
〜の | -i | -orum |
〜に | -o | -is |
〜を | -um | -os |
〜〇〇 | -o | -is |
〜よ! | -ir | -i |
中性名詞の多い語尾
umで終わる名詞
umで終わる名詞は全て中性名詞になります。単数 | 複数 | |
---|---|---|
〜は | -um | -a |
〜の | -i | -orum |
〜に | -o | -is |
〜を | -um | -a |
〜〇〇 | -o | -is |
〜よ! | -um | -a |
uで終わる名詞
uで終わる名詞は全て中性名詞になります。単数 | 複数 | |
---|---|---|
〜は | -u | -ua |
〜の | -us | -uum |
〜に | -ui | -ibus |
〜を | -u | -ua |
〜〇〇 | -u | -ibus |
〜よ | -u | -ua |
例外
その他の語尾や例外は、特定の語尾はありませんが、活用は以下になります。um型
単数 | 複数 | |
---|---|---|
〜は | -〇 | -a |
〜の | -is | -um |
〜に | -i | -ibus |
〜を | -us | -a |
〜〇〇 | -e | -ibus |
〜よ! | -〇 | -a |
ium型
単数 | 複数 | |
---|---|---|
〜は | -〇 | -es |
〜の | -is | -ium |
〜に | -i | -ibus |
〜を | -em | -es |
〜〇〇 | -e | -ibus |
〜よ! | -〇 | -es |
このように一覧で見てみると、「〜よ!」は一部を除いて「〜は」とほぼ同じです。