西洋建築史の年表や流れと建築様式一覧

ギリシャ様式(BC.9世紀~BC.1世紀)

ギリシャ様式の概要

ギリシャ様式は古代ギリシア人によって創造された建築様式で、ヨーロッパ建築の起源ともいえる建築様式です。

ヨーロッパの建築は、紀元前8世紀頃は木造でしたが、紀元前7世紀頃からギリシャ様式の石での創造が開始されはじめ、紀元前5世紀から紀元前4世紀頃にその頂点を迎えます。

ギリシャ建築の柱の様式

まず、代表的なギリシャ柱の建築様式として
  • ドーリア式
  • イオニア式
  • コリント式
の三つの柱のスタイルがあります。

ペロポネソス半島とイタリア半島南部ではドーリア式が発展し、小アジア(現在のトルコ)ではイオニア式建築が発達します。

ギリシャ様式は、柱周りなどの細部の装飾や黄金比を用いたデザインが特徴です。

エンタブラチュア(柱の上に載る水平材)は古代建築の重要な要素であり、一般的には
  • アーキトレーブ
  • フリーズ
  • コーニス
の部分に分かれます。

ドーリア式(ドリス式)

ドーリア柱は、シンプルで力強いデザインの柱です。

ドリス式とも言われます。

柱頭(柱の上部)に装飾がなく、柱の下部に台座はありません。

柱頭は平たいプレート型になっており、
  • アバクス(下図の1)
  • エキヌス(下図の2)
があります。


ドーリア式は、パルテノン神殿などが有名です。


ヘパイストス神殿もドーリア式です。


イオニア式
イオニア柱は、優雅で細長く、柱頭に渦巻き(ヴォリュート)が付いているのが特徴で、柱の下に台座があります。

イオニア式は、エレクティオン神殿などが有名です。



アッタロスの柱廊の列柱は、外側はドーリア式、内側はイオニア式の建築様式を用いています。


コリント式

コリント柱は、最も装飾的で、柱頭にアカンサスの葉の彫刻が施されています。

コリント柱は、ゼウス神殿などが有名です。


ギリシャ建築の柱のパーツの名称

それではギリシャ柱の各部分の名称です。

下記のギリシャ柱は、上記の
  • ドーリア式
  • イオニア式
  • コリント式
共通の考え方です。


1. エンタブラチュア
2. コラム
3. コーニス
4. フリーズ
5. アーキトレーブ
6. 柱頭
7. 柱身
8. 礎盤(丸い場合はトーラスという)
9. ステュロバテス
10. ステレオバテス(基壇)

エンタブラチュア(天井部分)
図のように、エンタブラチュアは
  • アーキトレーブ
  • フリーズ
  • コーニス
の部分に分かれます。


キオナス
  • 柱頭
  • 柱身
  • 礎盤
を合わせて、柱、ギリシャ語でキオナスと言います。

柱身は柱の中心部分で、通常縦に溝(フルーティング )が刻まれています。

また礎盤は、ドーリア式は存在しない場合があります。

クレピドーマ(土台部分)
ステュロバテスは段差がある土台の一番上の段の部分で、ステレオバテスはそれ以下の部分です。

そして
  • ステュロバテス
  • ステレオバテス(基壇)
の土台全体のことを「クレピドーマ」といい、その土台の奥行きを「エウテュンテリア」といいます。

ギリシャ建築の屋根の構造

ペディメント
ペディメントは、屋根の三角の部分です。

このペディメントにも種類があり
  • 三角ペディメント(Triangular Pediment)
  • 半円ペディメント(Segmental Pediment)
  • 破断ペディメント(Broken Pediment)
  • 反転ペディメント(Inverted Pediment)
  • スワンネックペディメント(Swan-neck Pediment)
などが存在します。

三角ペディメント

三角ペディメントは、ギリシャ建築の標準的なペディメントです。

写真はパルテノン神殿を模したアメリカのナッシュビルの神殿です。

ペディメントの頂上部やテュンパノン(三角の面の部分)に、後述のアクロテリオンで装飾されます。

半円ペディメント

半円ペディメントとは、ペディメントの部分が三角ではなくアーチ状になっているタイプです。

半円ペディメントは、ローマ建築やルネサンス建築で発展しました。

写真は、奈良国立博物館で、フレンチ・ルネサンス様式の建物となっています。

破断ペディメント
破断ペディメントは、三角形や半円形のペディメントが途中で途切れているペディメントです。

バロック建築や新古典主義建築でよく使われています。

反転ペディメント

反転ペディメントは珍しいデザインで、内側が狭くなるような形になっています。

バロック様式以降でまれに見られたりします。

写真はツヴィンガー宮殿です。

スワンネックペディメント
スワンネックペディメントは、S字型に湾曲したペディメントです。

バロック建築やロココ建築で特に好まれ、装飾的で動的な印象を与えます。

ギリシャ神殿の基本構造

古典的な小規模構造

  • アンタエ(Antae)
  • プロスティロス(Prostylos)
  • アンフィプロスティロス(Amphi-Prostylos)
  • ペリプテラル(Peripteral)
のレイアウト。

アンタエ

アンタエは、前面のみの2つ柱のスタイルです。

このスタイルは、上記写真の「デルファイのアテネの宝物庫」などが有名です。

プロスティロス

プロスティロスは、前面のみの4つ柱のスタイルです。

「前に柱がある」という意味で、上記写真の「ブジザのローマ神殿」が有名です。

アンフィプロスティロス

アンフィプロスティロスは、前面後面の4つ柱のスタイルです。

上記写真の「アテナ・ニケ神殿」が有名です。

ペリプテラル

ペリプテラルは、全面柱のスタイルです。

上記写真の、フランスのニームにある「メゾン・カレ」などが有名です。

ペリプテロス構造

ペリプテロスは、ギリシャの神殿の中で最も有名で、最も普及している形とされています。

その他に発展系などの形として
  • ディプテロス
  • プセウドディプテロス
などがある。

セラ

セラ(Cela)は真ん中の部屋の部分です。

ナオスとも言います。

神々の像が置かれているセラは、神の部屋と考えられており、一般的に訪問者には開放されていませんでした。

プロナオス

プロナオス(Pronaos)は、ナオスの前という意味。

アディトン

アディトン(Adyton)は、セラの一番端にある小さなエリアで、最も内側の聖域。

オピストドモス

オピストドモス(Opisthodomos)は、神殿の後部にある、宝物などを保管する部屋。

プテロン

プテロン(Pteron)は、真ん中の壁と周りの柱の間で、訪問者のための屋根付きの空間。

ギリシャ建築のその他の技法

プロピュロン
プロピュロン(propylon)またはプロピュライア(propylaea) は、ギリシャ建築の門のことです。

写真はアフロディシアス(アフロディテの神殿)の門。

コロネード

コロネードは、古代の建築において一つのエンタブラチュア(柱の屋根部分)で連結された柱の並びをいいます。

いわば列柱のことです。

ペリスタイル

ペリスタイルは、ギリシア建築やローマ建築における、柱のあるポーチ、または中庭を取り囲むコロネードで中央に庭園などがあるものを指します。

のちにクロイスターと発展していった。

エンタシス

エンタシス(entasis)は、ギリシャ建築において円柱下部もしくは中間部から、上部にかけて徐々に細くした形状の柱のことをいいます。

パルテノン神殿などの円柱がそのように設計されています。

ポルチコ

ギリシャ建築は後に、建物の玄関に導くための歩道上の屋根がある柱列であるポルチコの起源となりました。


ポルチコ(Portico)とは、イタリア語で「柱廊」を意味する言葉になります。

アクロテリオン

アクロテリオンは、屋根の頂や隅を飾る彫像などをいいます。

神・人間・怪物などの単身像、または模様などがあります。


ギリシャ様式の代表的な建造物

ニケ神殿

建造(完成年) 紀元前480年
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 アテナイ

イオニア式の古代ギリシャのアテネの神殿。

コンコルディア神殿

建造(完成年) 紀元前450年頃
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 古代ギリシャ

古代ギリシャの植民土地であったシチリア島南部アグリジェントに残る遺跡群『神殿の谷』の代表的建造物。ドーリア式。

パルテノン神殿

建造(完成年) 紀元前432年
現在の国名 ギリシャ 
着工当時の国名 アテナイ

ドーリア式の代表例。

アテネのアクロポリスに建てられた、女神アテナを祀る神殿です。

エレクテイオン神殿

建造(完成年) 紀元前407年
現在の国名 ギリシャ 
着工当時の国名 アテナイ

イオニア式の神殿です。

アポロ神殿

建造(完成年) 紀元前4世紀頃
現在の国名 ギリシャ 
着工当時の国名 古代ギリシャ

ドーリア式ですが、内部にコリント式の柱を使用しています。

ゼウス神殿

建造(完成年) 2世紀
現在の国名 ギリシャ 
着工当時の国名 アテナイ

コリント式の神殿です。

ローマ様式(BC.3世紀~AD.5世紀)

ローマ様式の概要

ギリシャ建築を芸術的な模範として受け継ぎつつ独自に発展させたロ ーマ建築は、円形闘技場や公共浴場、水道橋などの公共施設が特徴です。

アーチ・ヴォールト(穹窿)・ドーム

ア ーチ構造やドーム天井、ヴォールト(穹窿)などを使い、より広い空間を作ることが可能になりました。

コンポジット式(複合式)とトスカーナ式

ギリシャ様式のドーリア式、イオニア式、コリント式に加え、
  • コンポジット式(複合式)
  • トスカーナ式
が誕生しました。


トスカーナ式 ドーリス式
イオニア式 イオニアモダン式
コリント式 コンポジット式

ローマ様式の代表的な建造物

ローマ水道橋

建造(完成年) 紀元前312年から各地へ
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 ローマ帝国

フランスに現存するローマの水道橋で、アーチを三重に組み合わせた構造で、高い耐久性を持ちます。

パンテオン

建造(完成年) 紀元前25年
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 ローマ帝国

ローマ神殿で、世界最大級のコンクリート製ドームを持ちます。

フランスのパリにも同名の建物がありますが、別のものです。

 「パンテオン」を詳しく見る

コロッセオ

建造(完成年) 80年頃
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 ローマ帝国

世界最大の円形闘技場で、剣闘士の戦いや劇が行われました。

アーチ構造を駆使し、最大約5万人を収容可能です。

階ごとに異なる柱頭デザイン(ドーリア式、イオニア式、コリント式)がされています。

カラカラ浴場

建造(完成年) 216年
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 ローマ帝国

巨大な公衆浴場(テルマエ)で、温水・冷水プール、運動場、図書館などを備えていました。

現代のスパ施設の元祖ともいえる建築です。

コンスタンティヌスの凱旋門

建造(完成年) 315年
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 ローマ帝国

皇帝コンスタンティヌス1世の勝利を記念して建設されました。

古代ローマの芸術と建築技術の集大成です。

フランスのパリに建設されたカルーゼル凱旋門のモデルにもなっています

ビザンツ様式(4世紀~15世紀)

ビザンツ様式の概要

ビザンツ様式は、ローマ建築を基盤にしつつ、ギリシャやオリエント(東方)の影響を受けたのが特徴です。

特に、
  • 巨大なドーム
  • モザイク装飾
  • 集中式平面
が重要な要素となっています。

4世紀頃、アナトリア(現トルコ)でローマの建築技術と東方文化が結びついて発展し、6世紀ごろに最盛期を迎えました。

外側はレンガや石でシンプルに仕上げられたバジリカなどの聖堂建築にドームが組み合わさり、内部はモザイクや大理石で装飾されているのが特徴です。

ペンデンティブ(穹隅)

ペンデンティブ(四隅の三角形のアーチ)を活用し、大規模な中央ドームを実現しています。

集中式平面(集中式プラン)

ローマ建築のバシリカ式(長方形の平面)とは異なり、中央にドームを配置する集中式の建物が多いです。

モザイク装飾

黄金のモザイクを多用し、キリストや聖人の宗教画(イコン)を壁や天井に描かれています。

ビザンツ様式の代表的な建造物

サン・ヴィターレ聖堂

建造(完成年) 6世紀前半
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 同上

イタリアのラヴェンナのビザンツ様式の聖堂です。

八角形(オクタゴン)の集中式プランを採用しています。

壁面には皇帝ユスティニアヌス1世と皇后テオドラのモザイク画が残っています。

ハギアソフィア大聖堂

建造(完成年) 537年
現在の国名 トルコ 
着工当時の国名 ビザンツ帝国

トルコに存在する、ビザンツ建築の最高傑作の建造物です。

聖ソフィア大聖堂、そして言語の発音によって、アギアソフィア大聖堂、アヤソフィア大聖堂とも呼ばれます。

巨大な中央ドーム(直径約31m)を持ち、ペンデンティブ構造を活用しています。

モザイク装飾が美しく、キリスト教会→モスク→博物館→モスクと用途が変化しています。

ソフィア大聖堂

建造(完成年) 1037年
現在の国名 ウクライナ 
着工当時の国名 キエフ大公国

ビザンツ様式とスラヴ様式の融合。
内部のフレスコ画やモザイクが有名。

パレルモ大聖堂

建造(完成年) 1182年
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 シチリア王国

イスラム、ビザンティン、ゴシック、バロックが融合したユニークな建築。

カロリング様式(8世紀~10世紀)

カロリング様式の概要

カロリング様式は、8世紀後半から10世紀にかけて、フランク王国のカール大帝(シャルルマーニュ)とその子孫の時代に発展した建築様式です。

ローマのバシリカ様式を継承し、長方形の身廊(ネーブ)と側廊(アイル)を持つ構造が基本で、半円アーチや石造建築が用いられました。

古代ローマ建築の復興を目指しながら、キリスト教建築の要素を融合させたのが特徴です。

カロリング様式は、後のロマネスク様式の基礎ともなりました。

西側正面の導入

教会の西側に2つの塔を持つ壮大な正面**を設ける設計。

このデザインは後のロマネスク建築にも影響を与えました。

回廊を持つ修道院建築の発展

修道院建築が活発に行われ、後のヨーロッパの修道院建築の基盤を形成しました。

カロリング様式の代表的な建造物

アーヘン大聖堂

建造(完成年) 800年頃
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 フランク王国

ビザンツ建築の影響を受けた八角形の集中式プランが採用されています。

最も代表的なカロリング様式の建築であり、世界遺産にも登録されています。

コルヴァイ修道院

建造(完成年) 855年
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 フランク王国

西正面を持つ代表的な建築。

他の部分は建て替えられて異なる様式になりましたが、このヴェストヴェルクはカロリング様式として残っています。

教会建築における西側塔の発展に影響を与えました。

ロマネスク様式(10世紀~12世紀)

ロマネスク様式の概要

ロマネスク様式は、10世紀後半から12世紀にかけてヨーロッパで発展した建築様式です。

「ローマ風の」という意味を持ち、古代ローマ建築の要素を受け継ぎつつ、中世キリスト教の影響を受けた重厚な建築様式が特徴です。

石造りの厚い壁や小さな窓、半円アーチ構造の天井などが特徴で、扉の上の半円形のタンバンや柱頭にレリーフが描かれています。

分厚い石造りの壁

建物の構造を支えるために厚い壁を採用し、要塞のような重厚感があります。

半円アーチ(ローマ風アーチ)

扉、窓、天井に半円形のアーチが使用されています。

ゴシック様式の尖頭アーチとは異なり、シンプルで力強い印象があります。

小さな窓と暗い内部

壁が厚いため、窓は小さく、内部はやや暗い構造になっています。

交差ヴォールト天井

初期のロマネスク建築は木造天井が多かったですが、後に交差ヴォールト(クロス・ヴォールト)が導入され、耐久性が向上しています。

ロマネスク様式の代表的な建造物

モンサンミッシェル

建造(完成年) 8世紀頃
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランク王国

干潮時に陸続きになる修道院と城塞が融合した建築。

ロマネスク様式とゴシック様式が織り混ざっています。

サント=マドレーヌ大聖堂

建造(完成年) 861年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランク王国

フランス中部ヨンヌ県の町ヴェズレーの中心的な丘の上にあるバシリカ式教会堂です。

世界遺産に登録されています。

当時は西フランク王国と思われます。

プラハ城

建造(完成年) 880年頃
現在の国名 チェコ 
着工当時の国名 ボヘミア公国

世界最大級の城で、チェコ大統領の公邸。

城だが、敷地内に大聖堂があったりする。

最初に建築された時代は、ロマネスク時代。

旧王宮、ロマネスク様式の聖ゲオルギー大聖堂、ゴシック様式の聖ヴィート大聖堂、聖ヴァーツラフ礼拝堂、いくつかの宮殿、修道院、王宮庭園、防衛塔、ゴールデンレイン通りがある。

クリュニー修道院

建造(完成年) 909年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 ブルグント王国

ロマネスク建築の最大級の修道院。

当時のキリスト教世界で最も影響力のある修道院の一つです。

ヴァヴェル城

建造(完成年) 970年
現在の国名 ポーランド 
着工当時の国名 ポーランド王国

クラクフにあるポーランド王の居城。

970年にロマネスク様式で建設され、14世紀にゴシック様式で拡大された。

ホーエンザルツブルク城

建造(完成年) 11世紀
現在の国名 オーストリア 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

ザルツブルクの丘の上に建つ壮大な要塞。

ダラム大聖堂

建造(完成年) 1093年
現在の国名 イギリス 
着工当時の国名 同上

イギリス・ロマネスク(ノルマン様式)の代表例。

ノルマン様式は、イギリスで発展したロマネスク様式の一つです。

交差ヴォールト天井を本格的に採用しています。

ピサ大聖堂

建造(完成年) 11〜12世紀頃
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 同上

ピサの斜塔(鐘楼)とセットで有名で、白大理石を用いたファサードが特徴です。

当時はピサ共和国と思われる。

ドーバー城

建造(完成年) 12世紀
現在の国名 イギリス 
着工当時の国名 イングランド王国

「イングランドの鍵」と称される堅固な要塞。

コンタル城

建造(完成年) 12世紀
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

城塞都市カルカッソンヌにある城。

フランス王国とは独立して統治されていた封建領であるトゥールーズ伯領の城塞都市。

エルツ城

建造(完成年) 12世紀
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

山奥にたたずむ中世そのままの美しい城。

ロマネスク様式だが、増築を繰り返しゴシック様式でもある。

クーフシュタイン城

建造(完成年) 1200年頃
現在の国名 オーストリア 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

中世の軍事要塞で、現在は博物館として公開。

建設当時は、神聖ローマ帝国における構成国であるバイエルン公国だったと考えられます。

ハイデルベルク城

建造(完成年) 13世紀初頭
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

部分的に何度も建て替えられ、ロマネスク様式、ゴシック様式、ルネサンス様式が混在します。

ゴシック様式(12世紀~16世紀)

ゴシック様式の概要

ゴシック様式は、中世ヨーロッパ(12世紀~16世紀)に発展した建築様式で、主に大聖堂や教会建築に用いられました。

ゴシックとは「ゴート風」という意味で、天井の高さと光を追求しており、建築そのものが「神は光りなり」というキリスト教の世界観を表しています。

ゴシック様式は、石造建築の技術が向上し、宗教的な象徴性が重視された時代を反映しており、現在もヨーロッパ各地でその壮麗な姿を見ることができます。

尖塔アーチ

建築物の高さを強調し、天へ向かう印象を与えます。

リブ・ヴォールト

天井を支える交差リブが複雑な模様を形成します。

フライング・バットレス(飛び梁)

外側から壁を支えることで、大きな窓を可能にします。

ステンドグラス

聖書の物語を描いた色鮮やかな窓が多く、内部に幻想的な光をもたらします。

ゴシック様式の代表的な建造物

聖ヴィート大聖堂

建造(完成年) 925年
現在の国名 チェコ 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

ウェストミンスター寺院

建造(完成年) 1065年
現在の国名 イギリス 
着工当時の国名 イングランド王国

13世紀後半にヘンリー3世によりフランスのゴシック様式に改築。

イギリス王室の戴冠式が行われる場所です。

ウィンザー城

建造(完成年) 1086年頃
現在の国名 イギリス 
着工当時の国名 イングランド王国

現存する世界最古の王室居城。イギリス王室の公邸の一つ。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂

建造(完成年) 1124年
現在の国名 スペイン 
着工当時の国名 同上

エルサレム、バチカンと並ぶキリスト教三大巡礼地の1つ。

数多くの拡張工事が行われ、ロマネスク、ゴシック、バロック、プラテレスコ、新古典様式など様々な建築様式が統合されている。

カンタベリー大聖堂

建造(完成年) 1130年
現在の国名 イギリス 
着工当時の国名 イングランド王国

イギリス国教会の総本山で、世界遺産にも登録。

サン=ドニ大聖堂

建造(完成年) 1144年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

エディンバラ城

建造(完成年) 12世紀頃
現在の国名 イギリス 
着工当時の国名 スコットランド王国

スコットランドの象徴的な要塞で、歴代スコットランド王の居城。

シャルトル大聖堂

建造(完成年) 1220年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

ステンドグラスの保存状態が極めて良好です。

ノートルダム大聖堂

建造(完成年) 1225年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

美しいステンドグラスと、二つの鐘楼が特徴です。

カステル・デル・モンテ

建造(完成年) 1240年
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

八角形の独特な形状を持つ謎多き城。

イスラムと北欧様式を取り入れたゴシック様式。

ブダ城

建造(完成年) 13世紀
現在の国名 ハンガリー 
着工当時の国名 ハンガリー王国

ドナウ川沿いに建つ王宮。ブダペストの象徴的建築。

1241年、モンゴル軍の攻撃で当時木造城壁だったブダ城が破壊され、石造で再建。

14世紀にラヨシュ1世によってゴシック様式の王宮に改造。

17世紀にオスマン帝国軍の攻撃で破壊。

18世紀にかけてハプスブルク家の支配下で再建され、バロック様式への改造。

19世紀半ばに発生した火災とその後の第一次世界大戦、第二次世界大戦で大規模な被害を受け、20世紀半ばに再び修復。

シエナ大聖堂

建造(完成年) 1264年
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

当時、神聖ローマ帝国を構成した領邦国家であるシエナ共和国にて建築。

マルボルク城

建造(完成年) 1274年
現在の国名 ポーランド 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

世界最大のレンガ造りの城。ドイツ騎士団の本拠地。

建設当時は、神聖ローマ帝国の構成国、プロイセン公国だったと考えられます。

アミアン大聖堂

建造(完成年) 1288年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

フランス最大のゴシック大聖堂で、精巧な彫刻が特徴。

カルルシュテイン城

建造(完成年) 1348年
現在の国名 チェコ 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

神聖ローマ帝国皇帝カール4世の財宝を守る城。

ブラン城

建造(完成年) 1377年
現在の国名 ルーマニア 
着工当時の国名 ハンガリー王国

「ドラキュラ城」として知られるゴシック風の城。

ストラスブール大聖堂

建造(完成年) 1439年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

シュテファン大聖堂

建造(完成年) 1450年
現在の国名 オーストリア 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

ウィーンのシンボルで、ゴシック様式とロマネスク様式が融合した大聖堂。

コルヴィン城

建造(完成年) 15世紀後半
現在の国名 ルーマニア 
着工当時の国名 ハンガリー王国

ルーマニア最大級の中世の城で、幻想的な雰囲気がある。

コルヴィン領主が住んだことからの名前で、言語の発音からコルバン城、または領主の名前からフニャディ城フネドアラ城とも呼ばれている。

ヨーク・ミンスター

建造(完成年) 1472年
現在の国名 イギリス 
着工当時の国名 イングランド王国

ゴシック様式の最高傑作とされる、北ヨーロッパ最大級の大聖堂。

ランス大聖堂

建造(完成年) 1475年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

1991年に、ユネスコ世界遺産に登録されました。

トレド大聖堂

建造(完成年) 1493年
現在の国名 スペイン 
着工当時の国名 同上

スペイン・ゴシックの傑作とされる、壮麗な大聖堂。

フライブルク大聖堂

建造(完成年) 1513年
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

ロマネスク様式で建設が始められましたが、最終的には精巧なゴシック様式となりました。

バターリャ修道院

建造(完成年) 1517年
現在の国名 ポルトガル 
着工当時の国名 ポルトガル王国

セビリア大聖堂

建造(完成年) 1528年
現在の国名 スペイン 
着工当時の国名 同上

ヨーロッパ最大級のゴシック様式の大聖堂で、ヒラルダの塔が象徴的。

ルーアン大聖堂

建造(完成年) 1544年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 ノルマンディー公国

 「ルーアン大聖堂」を詳しく見る

ブルゴス大聖堂

建造(完成年) 1567年
現在の国名 スペイン 
着工当時の国名 同上

スペインで唯一、単独で世界遺産に登録されているゴシック大聖堂。

レーゲンスブルク大聖堂

建造(完成年) 1634年
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

創建は8世紀頃とされ、10世紀後半にロマネスク様式で建て替えられ、1273年にゴシック様式で再建され、1634年に完成しました。

ケルン大聖堂

建造(完成年) 1880年
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 同上

世界最大級のゴシック建築です。

ミラノ大聖堂

建造(完成年) 1965年
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 同上

135本の尖塔と約3400体の彫刻が特徴です。

ルネサンス様式(14世紀~16世紀)

ルネサンス様式の概要

ルネサンス様式は、14世紀後半から16世紀にかけてイタリアを中心に発展した建築様式で、古代ギリシャ・ローマの建築の影響を受けています。

ルネサンスとは「再生」という意味で、幾何学図形を用いた左右対称の造形や直線が特徴です。

均整のとれた比例と対称性

建築の各部分が調和し、美しいバランスを持ちます。

円柱・アーチ・ドームの使用

古代ローマの影響を受け、秩序だった構造を持ちます。

装飾の抑制と調和

過度な装飾を避け、シンプルかつ洗練された美しさを重視しています。

平面的で明快な構成

ファサード(正面)が整然としており、幾何学的な要素が強いです。

ルネサンス様式の代表的な建造物

サン・ピエトロ大聖堂

建造(完成年) 324年
現在の国名 バチカン市国 
着工当時の国名 ローマ帝国

ローマ帝国時代に建造され、ルネサンス期に修築されました。

ドームはルネサンス建築、内装はバロック様式です。

ソミュール城

建造(完成年) 960年頃
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

フランスのロワール地方にある城。

12世紀末、16世紀に再建。

ルネサンス様式も入ってたりもするが、中世の建築様式が中心。

アンボワーズ城

建造(完成年) 11世紀
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

フランス、ロワール地方の城。

ゴシック様式の要塞としての築かれたが、後にルネサンス様式に改築。

 「アンボワーズ城」を詳しく見る

シュノンソー城

建造(完成年) 11世紀
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

フランスのロワールにある城。

特に川の上に建つ優雅なデザインが特徴です。「六人の女性の城」とも呼ばれ、歴史的に女性が城の改築や拡張に大きく関わってきました。

 「シュノンソー城」を詳しく見る

アーケシュフース城

建造(完成年) 1300年頃
現在の国名 ノルウェー 
着工当時の国名 同上

オスロにある要塞で、ノルウェーの歴史的建造物。

アナと雪の女王のモデルになった。

17世紀にルネサンス様式に改築。

ウプサラ大聖堂

建造(完成年) 1435年
現在の国名 スウェーデン 
着工当時の国名 同上

北欧最大の大聖堂で、スウェーデン国王の戴冠式が行われた歴史がある。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂

建造(完成年) 1436年
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 同上

世界最大級のレンガ造りのドームを持ちます。

クロ・リュセ城

建造(完成年) 15世紀半ば
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

フランス、ロワール地方にある城。

アンボワーズ城の近くにあります。

スフォルツェスコ城

建造(完成年) 1466年
現在の国名 イタリア 
着工当時の国名 ミラノ公国

ルネサンス期の軍事要塞で、現在は博物館。

アゼ=ル=リドー城

建造(完成年) 1527年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

世界遺産「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」に含まれる城です。

ヴィランドリー城

建造(完成年) 1536年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

フランスルネサンスの庭園造りの粋が詰まった、美しい庭園が特に有名な城です。

フォンテーヌブロー宮殿

建造(完成年) 16世紀末
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

 「フォンテーヌブロー宮殿」を詳しく見る

エル・エスコリアル修道院

建造(完成年) 1584年
現在の国名 スペイン 
着工当時の国名 同上

ルネサンス様式(エレラ様式)の建物。
スペイン・ルネサンス建築の代表作エル・エスコリアル修道院・離宮の建築家フアン・デ・エレラにちなんだ様式です。

クロンボー城

建造(完成年) 1585年
現在の国名 デンマーク 
着工当時の国名 同上

シェイクスピアの『ハムレット』の舞台となった城。

クロンボー城の前身にあたる砦(Krogen)を築いたのは1420年代で、1585年に城に改築されました。

ヴァランセ城

建造(完成年) 17世紀
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

フランス、ロワール地方の城。

シャンボール城

建造(完成年) 1685年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

ルネサンス様式の豪華な城。フランソワ1世によって建設。

フレンチ・ルネサンス様式(北方ルネサンス様式。)

 「シャンボール城」を詳しく見る

バロック様式(16世紀~18世紀)

バロック様式の概要

バロック様式は、16世紀末から18世紀にかけてヨーロッパで発展した建築様式で、ルネサンス様式の調和や均整美を基盤としつつ、より 壮大で動的なデザインを特徴とします。

バロックとは、ポルトガル語の「ゆがんだ真珠(バロッコ)」に由来し、大航海時代に栄えた過激な装飾や凹凸の協調などを特徴とします。

バロック様式は、その後ロココ様式へと発展し、より優美で装飾的な方向へ進みました。

バロック建築は、主にカトリック教会や王宮建築に多く見られます。

曲線や楕円形の多用

ファサード(正面)や平面が動きのある形状。

豊かな装飾と劇的な演出

天井画や彫刻、大胆な光と影のコントラストを活用。

ドームや円天井の発展

視覚的な広がりを生み出しています。

巨大なスケール感

壮麗で威圧感のある建築。

バロック様式の代表的な建造物

メルク修道院

建造(完成年) 11世紀
現在の国名 オーストリア 
着工当時の国名 フランク王国

11世紀、ハプスブルク家以前のバーベンベルク家のレオポルド1世が、ベネディクト派の修道院を建立し、18世紀に改築されたもの。

11世紀当時は、東フランク王国だったと考えられる。

メルク修道院は、オーストリアのドナウ川沿いに位置する壮麗なバロック様式の修道院で、ヨーロッパでも特に美しい修道院の一つとして知られています。

 「メルク修道院」を詳しく見る

セゴビア城

建造(完成年) 11〜12世紀
現在の国名 スペイン 
着工当時の国名 カスティーリャ王国

ディズニー映画『白雪姫』の城のモデルとされる。

ハンプトン・コート宮殿

建造(完成年) 1521年
現在の国名
着工当時の国名 イングランド王国

ゴシック様式とルネサンス様式の融合(チューダー様式)だったが、17世紀に多くが改築されバロック様式に。
チューダー様式は、イギリス王家のテューダー朝(なぜか王朝名はチューダーではなくテューダーと言われる)から名付けられた後期ゴシックの様式。

 「ハンプトン・コート宮殿」を詳しく見る

ヴォー=ル=ヴィコント城

建造(完成年) 1656年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

初期バロック様式で、ヴェルサイユ宮殿の原型。建設に携わった芸術家は、ルイ14世によりヴェルサイユ宮殿の造営にも従事した。

ニンフェンブルク宮殿

建造(完成年) 1675年
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

建設当時は神聖ローマ帝国に属していたバイエルン選帝侯領でしたが、1806年に神聖ローマ帝国が解体され、バイエルン王国となります。

 「ニンフェンブルク宮殿」を詳しく見る

ヴェルサイユ宮殿

建造(完成年) 1682年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

「鏡の間」を含む華やかな内装と、庭園と一体化した壮大な設計

 「ヴェルサイユ宮殿」を詳しく見る

ドロットニングホルム宮殿

建造(完成年) 1686年
現在の国名 スウェーデン 
着工当時の国名 同上

セント・ポール大聖堂

建造(完成年) 1710年
現在の国名 イギリス 
着工当時の国名 イギリス帝国

ロンドン、クリストファー・レン設計のバロック様式の大聖堂で、ロンドンの象徴的存在。

ブレナム宮殿

建造(完成年) 1722年
現在の国名 イギリス 
着工当時の国名 グレートブリテン王国

ベルヴェデーレ宮殿

建造(完成年) 1723年
現在の国名 オーストリア 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

ウィーンの丘陵地に建ち、上層の宮殿からは市内が一望できるバロック建築の傑作です。

 「ベルヴェデーレ宮殿」を詳しく見る

ツヴィンガー宮殿

建造(完成年) 1728年
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

ドレスデン美術館(アルテ・マイスター絵画館)の展示施設の一つ。
門などに反転ペディメント、窓などに破断ペディメントやスワンネックペディメントが使われています。

シェーンブルン宮殿

建造(完成年) 1750年頃
現在の国名 オーストリア 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

内部は華麗なロココ調の装飾が施されています。

マドリード王宮

建造(完成年) 1755年
現在の国名 スペイン 
着工当時の国名 同上

スペイン王の王宮ですが、実際には国王や王族は住んでおらず、彼らは郊外にあるマドリード王宮より小さなサルスエラ宮殿に好んで暮らしています。

内装がロココ様式です。

シャルロッテンブルク宮殿

建造(完成年) 1790年
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 プロイセン王国

 「シャルロッテンブルク宮殿」を詳しく見る

ロココ様式(18世紀初め~18世紀末)

ロココ様式の概要

ロココ様式は、18世紀前半にフランスで発展した美術・建築様式で、バロック様式の豪華さを引き継ぎながらも、より優美で装飾的な特徴を持っています。

貝殻や植物紋様、紋章の縁取りなどを組み合わせたモチーフや、曲線、 淡い色彩などの他、壁面と天井に境目がない構造も特徴です。

特に宮廷文化と深く結びつき、貴族の生活空間を華やかに彩りました。

ロココ様式は、優雅さと繊細さを追求した建築様式であり、当時の貴族文化を象徴するものとして今も世界中で愛されています。

軽やかで優雅なデザイン

バロック様式よりも繊細で装飾が細かい

曲線的な装飾

渦巻きや植物モチーフが多用される

柔らかい色彩

パステルカラー(ピンク、クリーム、ゴールドなど)が多用される

天井画や鏡の使用

空間を広く見せるために多く取り入れられた

ロココ様式の代表的な建造物

サンスーシ宮殿

建造(完成年) 1747年
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 同上

プチ・トリアノン

建造(完成年) 1768年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

ベルサイユ宮殿自体はバロック様式ですが、その敷地内にあるプチ・トリアノン(小トリアノン宮殿)は、外装は新古典主義建築で、内装はロココ様式です。

マリー・アントワネットが愛した優雅な離宮です。

アウグストゥスブルク城

建造(完成年) 1768年
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

階段ホールの装飾が特に有名。

建設当時は、神聖ローマ帝国の中の、ケルン選帝侯領に属していたと思われます。

新古典主義様式(18世紀後半~19世紀初頭)

新古典主義様式の概要

古代ギリシャ・ローマ建築の影響を受け、シンプルで均整の取れたデザインが特徴

対称性と秩序

シンメトリーを重視し、バランスの取れたデザイン

直線的でシンプルな装飾

バロックやロココの華美な装飾を避ける

円柱やペディメントの使用

ギリシャ神殿風の要素(ドリス式・イオニア式などの柱)

白や落ち着いた色調

華やかな色よりも、洗練された落ち着いた色使い

新古典主義様式の代表的な建造物

大英博物館

建造(完成年) 1759年
現在の国名 イギリス 
着工当時の国名 イギリス帝国

パンテオン(パリ)

建造(完成年) 1792年
現在の国名 フランス 
着工当時の国名 フランス王国

ギリシャ・ローマ風の円柱とドームを備えた代表的な建築

ブリュッセル王宮

建造(完成年) 1829年
現在の国名 ベルギー 
着工当時の国名 同上

ベルギー国王と女王の公邸です。

しかし、王とその家族はブリュッセル北部のラーケン王宮に住んでいるため、王室の住居としては使用されていません。

バッキンガム宮殿

建造(完成年) 1837年
現在の国名 イギリス 
着工当時の国名 イギリス帝国

イギリス国王の宮殿。

1924年に建立されたが、1825年ごろから大改築が行われ、ルネサンス建築からネオクラシック建築(新古典主義様式)に改築された。

ヘルシンキ大聖堂

建造(完成年) 1852年
現在の国名 フィンランド 
着工当時の国名 同上

ネオクラシック様式の美しい白い大聖堂。

歴史主義様式(19世紀~20世紀初め)

歴史主義様式の概要

過去の様式を組み合わせたり再現した建築様式

過去の建築様式の再解釈

ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックなどを融合

象徴的な要素の強調

歴史的なスタイルを用いて権威や伝統を強調

多様な建築スタイル

ゴシック・リバイバル、ロマネスク・リバイバル、ルネサンス・リバイバルや、新しい概念を取り入れたネオゴシック、ネオルネサンスなどと言われたりもします。

歴史主義様式の代表的な建造物

フルボカー城

建造(完成年) 13世紀
現在の国名 チェコ 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国

白亜の美しいネオゴシック様式の城。

改装後、ネオゴシック様式になっています。

建設当時は、神聖ローマ帝国の構成国の一部であるボヘミア王国だったと考えられます。

ウェストミンスター宮殿

建造(完成年) 1860年
現在の国名 イギリス 
着工当時の国名 イギリス帝国

1860年に再建。

ゴシック・リバイバル様式の代表。

ホーエンツォレルン城

建造(完成年) 1867年
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 神聖ローマ帝国プロイセン王国

プロイセン王家の象徴的な城。

1061年に最初の城が建てられたが、1867年に再三に渡り再建された。

最初の城の時は神聖ローマ帝国、1867年時はプロイセン王国だったと考えられる。

ウィーン国立歌劇場

建造(完成年) 1869年
現在の国名 オーストリア 
着工当時の国名 オーストリア=ハンガリー帝国

ルネサンス様式を取り入れた、ネオルネサンス建築。

リンダーホーフ城

建造(完成年) 1878年
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 バイエルン王国

外観はルネサンス・リバイバル様式で、内装はヴェルサイユ宮殿の大トリアノンを模したバロック・ロココ様式。

 「リンダーホーフ城」を詳しく見る

ヴォティーフ教会

建造(完成年) 1879年
現在の国名
着工当時の国名 オーストリア帝国

ウィーンにあるネオゴシック様式の教会。

ウィーン市庁舎

建造(完成年) 1883年
現在の国名 オーストリア 
着工当時の国名 オーストリア=ハンガリー帝国

綺麗なネオゴシック様式の建物です。

ノイシュヴァンシュタイン城

建造(完成年) 未完成
現在の国名 ドイツ 
着工当時の国名 バイエルン王国

1886年に一部完成。

中世風のロマンティックなデザイン。

ブダペスト国会議事堂

建造(完成年) 1904年
現在の国名 ハンガリー 
着工当時の国名 オーストリア=ハンガリー帝国

ネオゴシック様式。

ノートルダム・ド・ラーケン教会

建造(完成年) 1909年
現在の国名 ベルギー 
着工当時の国名 同上

ゴシックリバイバル様式。

ペレシュ城

建造(完成年) 1914年
現在の国名 ルーマニア 
着工当時の国名 オスマン帝国

ネオ・ドイツルネサンス様式。

サクラダファミリア

建造(完成年) 未完成
現在の国名 スペイン 
着工当時の国名 同上

中世のゴシック様式を復興したネオゴシック様式を基本としつつ、新しい概念を取り入れた建築様式。

アール・ヌーヴォー(1890年頃~1910年頃)

アール・ヌーヴォーの概要

フランス・ベルギーを中心にヨーロッパ各地に広がった、曲線的な装飾(植物・花・昆虫など自然のモチーフ) や、有機的なデザイン(建築・家具・工芸など幅広い分野に影響)が使われています。

伝統的な様式からの脱却(歴史主義建築への反発)や、鉄・ガラスの積極的活用(新しい技術の導入)がされています。

アール・ヌーヴォーの代表的な建造物

タッセル邸

建造(完成年) 1893年
現在の国名 ベルギー 
着工当時の国名 同上

鉄製の柱、曲線を多用した装飾、自然のモチーフ

カサ・バトリョ

建造(完成年) 1906年
現在の国名 スペイン 
着工当時の国名 同上

アントニ・ガウディによる、波打つようなファサード、カラフルなタイル装飾

カサ・ミラ

建造(完成年) 1912年
現在の国名 スペイン 
着工当時の国名 同上

アントニ・ガウディによる、直線を排した有機的なフォルム、彫刻的な外観の建物

プラハ市民会館

建造(完成年) 1912年
現在の国名 チェコ 
着工当時の国名 オーストリア=ハンガリー帝国

アール・デコ(1910年代~1930年代)

アール・デコの概要

フランスの、1925年の「パリ装飾美術・産業美術国際博覧会」で命名され、幾何学的なデザイン(直線・三角形・円・ジグザグ模様など)のシンメトリー(左右対称)の構成で表現されます。

豪華な素材(大理石・象牙・金属・ガラスなど)
機械的でモダンな美しさ(工業デザインの影響)
装飾性を持ちつつも機能的なデザイン

アール・デコは、19世紀の装飾過多なスタイル(アール・ヌーヴォーなど)を排し、よりモダンで洗練されたデザインを追求しました。

アール・デコの代表的な建造物

クライスラー・ビル

建造(完成年) 1930年
現在の国名 アメリカ 
着工当時の国名 同上

流線型の装飾、金属を多用した輝くファサード

エンパイア・ステート・ビルディング

建造(完成年) 1931年
現在の国名 アメリカ 
着工当時の国名 同上

アメリカのビルディング。

  • お問い合わせ等はコチラよりお願い致します。

Copyright© 2015-2025 当サイトに掲載している文章・画像などの無断転載を禁止致します。